気を失う
ここでは60歳以上では6%程度の人が経験したことがあるといわれる比較的多い疾患である失神について述べたいとおもいます。定義は(一時的に気を失った結果,姿勢が保持できなくなり,かつ自然に,また完全に意識の回復が見られること)とされています。その原因は一時的に脳全体の血液の流れが減ってしまうことによります。 |
原因となる病態は |
1. 起立性低血圧 2. 神経調節性失神および類縁疾患 3. 心原性 4. 脳血管性 |
があります。(1)起立性低血圧、(2)神経調節性失神は基本的には自律神経がタイミングよく働けなくなる状態があるためにおきてしまいます。日常生活の中でも、副交感神経の活動が急激に更新する咳嗽,くしゃみ、消化管刺激(嚥下,排便,内臓痛)、排尿後などは血圧低下を誘発しやすく注意が必要です。(3)心原性では心電図での不整脈チェックや心臓エコー検査での心臓弁、心臓のポンプ機能の検査、(4)脳血管性ではMRI等での脳血管検査などさらに原因を詳しく調べる必要があります。てんかん発作でも気を失うことが多くありますが、失神との違いは痙攣などの多彩な神経症状を伴うことです。 |