日本脳神経外科・脊髄外科認定医

電話でのご予約・お問い合わせ TEL.042-316-1518
〒184-0002 東京都小金井市梶野町5丁目11-5 パピスプラザ1F
メディカルモールひがこ

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が狭くなったり、詰まったりして、その先の脳細胞に血液が届かなくなり、脳細胞は死んでしまい、脳の働きに障害が起きる疾患です。障害された脳が手足の動きを支配する場所であれば手足の麻痺になり、言語に重要な場所であれば言語障害が出現し、視覚を支配する場所であれば視野が欠けるなどの障害がでます。 脳梗塞
脳梗塞の種類
  • アテローム血栓性脳梗塞
    脳の太い血管にできたアテローム(コレステロールなどのかたまり)がやぶれ、血小板が集まって血栓ができ、さらに血管が狭くなっていき最後は閉塞してしまうものです。多くは高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などの生活習慣病が原因となります。症状は徐々に進行することが多いとされていますが、突然の発症ももちろんあります。
 
  • 心原性脳塞栓症
    心臓でできた血液のかたまり(血栓)が脳の血管まで運ばれて血管を詰めてしまうものです。心房細動と呼ばれる不整脈が大きな原因のひとつです。一定のリズムでうたないために心臓の中で血液がよどんだ状態になり、心臓のなかで血液の固まりができて、脳血管に飛んで血管をつめてしまうものです。その他の心源性脳塞栓症の原因としては、心臓の弁異常、心筋梗塞、心臓腫瘍などがあります。 元サッカー日本代表のオシム監督をおそった脳梗塞は心房細動が原因の心源性脳塞栓でした。
 
  • ラクナ梗塞
    脳の深いところにある直径1mm以下の細い血管がつまるものです。梗塞自体は小さいものですが運動や感覚の連絡路が障害されることが多く、手足の麻痺や感覚障害、構語障害(言葉がうまくしゃべれない)などの障害が出ます。高血圧などが原因で血管がもろくなることが原因と考えれれています。
症状

脳が障害を受けた場所や大きさにより異なる症状が現れます。よく見られる症状は以下の症状です

  • 片方の手足の麻痺(片麻痺)
  • 片方の手足がしびれたり、感覚が鈍る
  • 片方の顔面が麻痺してゆがむ(顔面神経麻痺)
  • 言葉がもつれる(構語障害)、物の飲み込みが悪い(嚥下障害)
  • 物が二重に見える(複視)
  • 視野の一部が欠ける
  • 話を理解したり、話ができない(失語)
  • 酩酊状態のようになったり、呼びかけに反応しなくなったりする(意識障害)
診断
  1. 神経所見:診察で症状をチェックします
  2. 頭部CT,MRI:脳の断層撮影です。MRIの中でも拡散強調画像を用いるとより早く診断ができます
  3. 心電図:不整脈の有無をチェックします
  4. 心エコー:心臓内に血栓の有無をチェックします
  5. 頚部血管検査:頚部内頚動脈に狭いところがないかチェックします。頚部エコー、MRA(MRIを用いて血管を撮影します)、脳血管造影検査(カテーテルと呼ばれる細い管を 足の付け根か肘の血管 から入れて造影剤を流すことにより血管を写すものです)のどれかを行います。
  6. 頭蓋内血管検査:頭蓋内血管に狭いところがないかチェックします。MRA、脳血管造影検査のどちらかを行います。MRAは造影剤を使用せずに撮影できます。
  7. 脳血流検査:血液の流れが悪くなった部分の血流量をはかり、治療法を選ぶ参考にすることがあります。
治療
  1. 急性期血栓溶解療法

    脳梗塞発症から4.5時間以内にtPA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)を静脈内投与すると,症状が改善されることが明らかとなり,広く用いられるようになってきました.閉塞した血管を再開通させることが目的ですが実際には2-3割が再開通できるのみで魔法の治療ではありませんが、現時点ではこれが唯一効果が証明されている方法です。 再開通できなかった部分は血管内治療の追加治療が行われている施設もあります。

  2. リハビリテーション

    血栓溶解療法にもかかわらず、麻痺などの機能障害が残ってしまった場合は、歩行、着替え、食事など日常生活に必要な動作や機能を回復させるためのいわゆる回復期リハビリテーションが行われます。理学療法・作業療法・言語療法があります。発症後数か月たって回復がプラトーに達した後は、その機能を維持するための維持期リハビリテーションが続けられます。運動障害のリハビリテーションを妨げる問題の一つに痙縮があります。痙縮とは麻痺した筋肉が緊張しすぎてしまう状態で、手、肘、肩、足関節などを固めて関節の変形を引き起こしたり、痛みを引き起こしたりします。最近ボツリヌス療法が日本でもみとめられ、この痙縮した筋肉をやわらかくし、関節の動きを和らげ、リハビリテーションの助けになっています。 当院でも痙縮患者さんにボツリヌス治療行っておりますので、ご希望の方はご相談ください。

  3. 脳梗塞後再発予防

    一度脳梗塞を起こしてしまうと、かなり高い確率で再発してしまうといわれています。まったく予防しなければ5年で3-4割が再発してしまいます。この事実から、いかに再発を予防するかがとても大切であることがわかります。まず、脳梗塞のリスクファクターである、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満、の厳重なコントロールが必要です。これに加え、心源性以外の脳梗塞ではアスピリンやプラビックスなどの抗血小板剤の投与、心房細動や心不全が原因の心源性脳梗塞ではワーファリンやダビガトランなどの抗凝固剤の投与が必要になります。

↑ PAGE TOP